テレビでIOCバッハ会長が東京都庁で小池都知事と会談をしている中継を見ました。

小池都知事のかかげる「透明性」から実現した公開会談だとは思いますが
ここでトップの姿として大いに学んだことがあります。

まず大前提は、
全面公開の中でも具体的な提案や感想を述べられたことがあります。
えてして日本人、とりわけ政治家の公開部分は挨拶や笑顔での記念写真だけのものが多いが
公開に応じてそこで意見をするというのは絶対的な自信と確信があるからです。

知事とオリンピック組織委員会の不仲にもうまく切り込んで「IOC(も仲をとりもつから)ともども協調していくべき」と釘をさした点も感心しました。

バッハ会長は相手が話すとき、通訳が話すとき、
しっかりと小池都知事の顔を見ていました。
そこで感じたのは、表情を変えないこと。
姿勢も一切動かない。
これはIOCトップとしての尊厳と駆け引きが通じないという強固たる姿勢が見えます。
それでいてコメントには相手へのリスペクト、アスリート中心、ユーモアな表現も混えるので嫌味は全く感じませんでした。

「もったいない」という小池都知事がリオで使った表現をしっかりと覚えていて
それをうまく会談でも使いこなして場の空気感も作っていました。

国際的によく目にするグローバル企業の社長などのプレゼンも拝見することはありますが
バッハ会長には「すばらしいバランス感覚」と「好感」を覚えました。
オリンピックというビッグイベントをアスリートファーストの視点を最優先に、
コストも含め国の政治も含めた4者での会議体の形成という提案は政治と経営のバランスに優れている。
しかし、コミットしたことを遵守するのは大前提であるという立場上重要なことははっきりと伝えてもいました。
それは決まったことだからという単純な理由ではなく、すでにIOCもコスト供出もしているのだという論理的且つ定量的な表現はとてもわかりやすい。
そして無駄な支出をコントロールするという意味であろう「利益」という表現でしたがコスト意識もしっかりともたれており、総合的に判断するというスタンスも見事でした。

Yes or No だけでなく、提案を聴くという行動は大きな組織のトップになればなるほど実際には難しい。
しかし小池都知事がバッハ会長の4者会議提案を来月からと返したことに対して今月からでもよいと。
スピード感をもった行動力もIOCの姿勢は開催に貢献できる間違いのない実績も用意もあるということ。
器の大きさを示すにはこれ以上ない反応でした。

メディアの情報は把握していても鵜呑みにしない。
そこも当然です。
囲みインタビューで軽く往なしていた表情から見ても、
誰と何の目的で行動するのかということもよくわかりました。

僕にもわかるようなわかりやすい英語(言葉)で話されたことは62社のメディアに揚げ足を取られないためだろう。

経営者として多くの点を学び感じた会談であり大いに参考になることがたくさんありました。

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小池知事、IOCバッハ会長と会談 東京五輪の意見交換
http://www.asahi.com/articles/ASJBL4Q08JBLUTIL01H.html
 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と小池百合子・東京都知事の会談が18日午後、都庁内で始まった。小池知事は2020年東京五輪・パラリンピックの開催計画見直しを検討しており、計画に…